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電子書籍の目次・章立ての作り方:読者の迷いの順番で組み立てる6ステップ

公開:2026年10月23日 / 執筆:増田裕一(株式会社ヒカリスター出版)

企画が決まっても、原稿に入る前にもう一つ、手が止まりやすい場所があります。目次・章立てです。書きたいことは頭の中にあるのに、どの順番で並べればよいのか分からない。この記事では、章立てを「読者の迷いの順番」で組み立てる方法を、私の考えとして6つのステップに整理します。

この記事の章の数や長さの例は、考え方を示すための目安です。守るべき決まりではありません。本のテーマや読者に合わせて調整してください。

結論:章立ては「書く順」ではなく「読者が迷う順」に並べる

先に結論です。私は、章立てを、自分が書きやすい順や、知識の大きさの順ではなく、読者が迷う順番で並べることをおすすめしています。

読者は、本を読むとき、頭の中に次のような疑問を持っています。

  • これは、自分に関係のある本なのか
  • 読んだら、何が分かるのか
  • まず、何から始めればよいのか
  • 途中で迷ったら、どう考えればよいのか

この疑問に、出てくる順に答えていくと、自然な章立てになります。反対に、書き手の整理の順に並べると、読者が置いていかれることがあります。

目次が果たす、3つの役割

目次は、ただの一覧ではありません。電子書籍では、特に次の3つの役割があります。

役割内容
購入前の確認読む人が、この本で何が分かるのかを、先に見て判断できる
読み進める道しるべ今、全体のどこを読んでいるのかが分かる
読み返しの入口あとで、必要な箇所だけをすぐ探せる

電子書籍では、目次の項目から該当の見出しへ移動できるリンクがあると、読み返しが楽になります。目次から移動できるかどうかは、制作の方法や配信の設定によって変わります。作る前に、使う方法で確認してください。

章立てを組み立てる6ステップ

ステップ① 読者の迷いを、付箋に書き出す

最初に、章のことは考えず、読者が迷いそうなことを、思いつくだけ書き出します。

  • 始める前の不安
  • 用語の意味が分からない
  • どれを選べばよいか分からない
  • やってみたが、うまくいかない

実際に受けた質問があれば、それも材料になります。材料がないときは、想像で書き出して、「想定」であることを自分の中で区別しておきます。

ステップ② 似た迷いを、まとめる

書き出したものを、似たものどうしでまとめます。名前を付けるなら、「始める前」「選ぶとき」「進めるとき」「行き詰まったとき」のように、読者の状況で呼べるものがよいです。

ステップ③ 並べ替えて、一本の流れにする

まとまりを、読者が経験する順番に並べます。目安は次のとおりです。

  1. 全体像・考え方(なぜ、これが必要か)
  2. 準備・前提(始める前に決めること)
  3. 実際の手順(何を、どの順にやるか)
  4. 迷ったとき・失敗したとき
  5. 続けるとき・次の一歩

テーマによって、順番は変わります。大切なのは、「この章を読む前の読者は、どんな状態か」を、各章で言えることです。

ステップ④ 各章に「約束」を一文で書く

各章について、「この章を読み終えると、読者は何が分かるのか」を一文で書きます。企画の段階で決めた、本全体の約束を、章ごとに小さくしたものです。

章のタイトル(仮の例)章の約束(仮の例)
第1章 全体像全体の流れと、各章の役割が分かる
第2章 準備始める前に決める3つのことが分かる
第3章 手順最初の一歩を、迷わず始められる

約束が一文で書けない章は、まだ内容が整理されていません。その章は、分けるか、削るかを検討します。

ステップ⑤ 章の数と長さを決める

章の数に、決まった正解はありません。ただ、考え方の目安はあります。

  • 読者が一度に覚えられる数を超えない(多くなりすぎるなら、大きなまとまりで束ねる)
  • 章ごとの長さを、大きくそろえすぎない(ただし、極端に偏らないようにする)
  • 1つの章で、約束は1つにする

スマホで読む人が多いことも考えて、一つの章が長くなりすぎるときは、小見出しで区切って、読む途中で戻りやすくします。

ステップ⑥ 目次だけを読んで、確かめる

最後に、本文を書く前に、目次だけを上から読んでみます。次の点を確認します。

  • 読者の迷いの順番になっているか
  • 章どうしのつながりが、自然か
  • 同じ内容が、別の章に重なっていないか
  • 見出しだけで、中身が想像できるか

声に出して読むと、流れの不自然さに気づきやすくなります。

章立ての例(仮の例です)

実際の本ではなく、考え方を示すための架空の例です。「自分の仕事を知ってもらうための入門書」を想定しています。

章タイトル(仮)読者の状態章の約束(仮)
はじめにこの本の使い方自分向けか迷っている誰のための本か、どう読むかが分かる
第1章なぜ「伝え方」から考えるのか何から手をつけるか分からない全体像と、考える順番が分かる
第2章読む人を具体的にする誰に向けるか決められない読む人を場面で言葉にできる
第3章案内文を書く前に整える情報書き始めると止まる整える情報を一覧にできる
第4章書いたあとの見直し書いたが、これでよいか不安3つの視点で見直せる
おわりに次の小さな一歩読み終えて、何をするか迷う今日やることを一つ決められる

この表のように、「読者の状態」の列を作っておくと、各章がどこで必要になるのかが見えます。読者の状態が前の章と同じなら、その二つの章は、一つにまとめられるかもしれません。

章の中の組み立て方

章立てが決まったら、一つの章の中も、同じように迷いの順で並べます。私は、次のような流れをよく使います。

  1. 読者の疑問を一文で置く
  2. 結論を先に言う
  3. 理由や、調べた事実を書く
  4. 自分の考えを、事実と分けて書く
  5. 読者が試せる小さな手順を示す
  6. 次の章へのつなぎを一文で書く

すべての章をこの形にそろえる必要はありません。ただ、「いま自分は、この章のどこを書いているのか」が分かるだけで、書く手が止まりにくくなります。

見出しの付け方

見出しは、本文の要約ではなく、読者の疑問に答える言葉にすると、読みやすくなります。

見出しの例(仮)気をつけたいこと
「はじめに」だけ何が書いてあるか分からない。目的が分かる言葉を足す
「〜の基礎知識」範囲が広すぎる。何が分かるのかを具体的にする
「〜するための3つの視点」読者が得るものが見える。数は本文と合わせる

数字を入れるなら、本文でも同じ数になっているかを必ず確かめます。「5つ」と書いて4つしかない、といったずれは、読者の信頼を損ねます。

「はじめに」と「おわりに」に置くもの

本の入口と出口の文章にも、役割があります。

  • はじめに:誰のための本か、読むと何が分かるか、どう読めばよいか
  • おわりに:本の要点を振り返り、読者が次にできる小さな一歩を示す

誇張した約束や、効果の保証は書かないようにします。「必ず成果が出る」のような言い方は、読者に過度な期待を持たせてしまいます。

奥付や参考情報に入れるもの

本の最後には、発行者や著者の情報、参考にした資料の情報などを置きます。本文や奥付にURLを載せるときは、リンクにしておくと、読者が迷わず移動できます。参考にした資料は、原典の内容と、自分の見解が別のものだと分かるように書き分けます。著者情報の書き方は、著者プロフィールの書き方で整理しています。

よくある失敗と対策

よくある失敗対策
書きたいことを、思いついた順に並べる読者の迷いの順に並べ直す
章が多すぎて、全体が見えない大きなまとまりで束ね、章の数を絞る
章の中に約束が複数ある一つの章に、約束を一つにする
見出しが抽象的で、中身が分からない読者の疑問に答える言葉にする
本文を書いてから、目次を作る先に目次を作り、本文を書きながら見直す
見出しの数と本文の数が合わない完成前に、数字の整合を確認する

確認チェックリスト

  • 読者の迷いを、書き出したか
  • 章の順番が、読者の経験する順になっているか
  • 各章の約束を、一文で言えるか
  • 章の数と長さを、読者が負担なく読める範囲にしたか
  • 目次だけを読んで、流れを確かめたか
  • 見出しの数字が、本文と合っているか
  • 本文や奥付のURLを、リンクにしたか

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よくある質問

章は何個くらいが適切ですか?

決まった数はありません。読者が迷う順番に並べて、約束が一つずつ言える範囲で決めてください。多くなりすぎる場合は、大きなまとまりで束ねる方法があります。

目次は、本文を書く前に作るべきですか?

先に作ることをおすすめします。ただ、本文を書き進めるうちに、順番や内容を直したくなることはよくあります。目次は一度作って終わりではなく、書きながら見直すものだと私は考えています。

一つの章が長くなってしまいます。どうすればよいですか?

小見出しで区切るか、約束が複数あるなら章を分けることを検討してください。スマホで読む人にとって、途中で戻りやすいことも大切です。

目次から本文へ移動できるようにするには?

制作の方法や配信の設定によって、できることが変わります。使う制作の方法の案内や、配信先の公式ヘルプで、最新の方法を確認してください。

まとめ

  • 章立ては、読者が迷う順番に並べる
  • 迷いを書き出し、まとめ、一本の流れにする
  • 各章の約束を一文で書き、一章に約束を一つにする
  • 目次だけを読んで、流れと数字の整合を確かめる
  • 目次は、書きながら見直してよい

まず、読者が迷いそうなことを、付箋に十個だけ書き出してみてください。

本にしたいことが、まだ形になっていなくても

すぐに決める必要はありません。何を、誰に伝えたいのか。その整理から、一緒に考えることもできます。

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