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出版の進め方:つくる

電子書籍の奥付の書き方|著作権表記とISBNも一緒に整理

公開:2026年10月24日 / 執筆:増田裕一(株式会社ヒカリスター出版)

原稿の最後まで書けたところで、「奥付には何を載せればよいのだろう」と手が止まるかもしれません。ほかの本を開くと、発行日、出版社名、著作権の記号、ISBNなどが並び、すべて用意する必要があるようにも見えます。

電子書籍の奥付の書き方を考えるときは、まずそれぞれの情報の役割を分けてみましょう。著作権の表記、本を識別する番号、誰がいつ発行したかを伝える情報は、似た場所に載っていても、同じ目的のものではありません。

私は、他書の奥付をそのまま写すより、自分の本について確認できる情報から整える方法を勧めます。この記事では、Kindle電子書籍を中心に、著作権表記、ISBN、奥付の考え方と、出版前に確認したい点を説明します。

1.電子書籍の奥付の書き方は、三つの役割を分けるところから

奥付は、書名、著者、発行日、発行者など、本の発行に関する情報をまとめる部分です。この記事では、読者がその本の基本情報を確かめられる場所として考えます。

著作権表記は、著作権者などを示すための表示です。ISBNは、本を識別するための国際的な番号であり、奥付の文章を整えることとは別に、付与の要否や使い方を確認します。

まずは、次の違いを押さえておきましょう。

項目整理する目的最初に確認すること
奥付本の発行に関する情報を伝える書名、著者、発行者、発行日
著作権表記権利に関する情報を示す誰がどの部分の権利を持つか
ISBN本や発行形態を識別する販売先で必要か、対象の版に合うか

気になるのは、「これがないと出版できないのか」という点でしょう。ただし、販売サービスの提出条件と、著作権の発生条件、読者への情報提供は、分けて調べる必要があります。

KDPの公式ヘルプでは、著作権ページは必須ではなく、設ける場合は本文のコンテンツファイルに含めると案内されています。この説明は著作権ページについての要件であり、あらゆる出版物の奥付に関する義務をまとめたものではありません。Amazon KDP「著作権のガイドライン」

本記事で紹介する奥付の項目は、初出版で情報を整理するための提案です。販売先が示す要件とは区別し、自分の出版方法に合わせて確認してください。

2.著作権の記号を書かないと、文章は保護されない?

文化庁は、著作権は著作物を創作した時点で自動的に発生し、取得のための手続きは必要ないと説明しています。日本の著作権は、登録や著作権の記号を書くことによって初めて発生する仕組みではありません。文化庁「著作権の登録手続き」

そのため、奥付を整えるときも、記号を付ければ権利関係の確認が終わるとは考えないようにしましょう。まず必要なのは、本文、写真、イラストなどについて、出版に必要な権利を確認することです。

たとえば、自分で本文を書き、写真は素材提供サービスから利用する一般例を考えてみます。本文の著作権についての表示と、写真を使う条件は、別々に確認する対象になります。

著作権者を示す表示を置くなら、本文や素材について実際に確認した内容に合わせます。誰の名前を書けばよいか不明な段階で、見た目を整えるために会社名や屋号を当てはめるのは避けましょう。

外注した文章や図は、依頼内容に戻って確認する

文章の編集、図の制作、表紙デザインなどを頼んだ場合は、納品されたものをどこまで使えるかを確認します。電子版だけでなく、紙の本や告知画像にも使う予定があれば、その用途まで伝えて相談してください。

ここで整理したいのは、「お金を払ったか」だけではなく、依頼時にどの範囲の利用や権利について合意したかです。契約書、見積書、依頼時のやり取りなどを読み、曖昧な点は制作者に確認しましょう。

奥付には、その確認結果に沿った情報を載せます。長い注意書きを先に作るより、実際の利用範囲と表記条件を把握するほうが、原稿を整える判断につながります。

禁止文より先に、第三者の素材の扱いを見る

ほかの本の末尾にある禁止文を、そのまま使いたくなることもあるでしょう。ただ、強い文言を加えたことだけで、自分の本に含まれる素材の利用条件が整理されるわけではありません。

KDPは、アップロードして販売するコンテンツについて、出版に必要な権利を保有していることを求めています。また、著作権ページだけでは、必要な権利を持つことの証明として十分ではないと説明しています。Amazon KDP「著作権のガイドライン」

素材のクレジット表記が必要なら、指定された書き方と掲載場所を確認します。奥付に集めてよいか、画像の近くに表示する必要があるかも、利用条件に沿って判断してください。

3.Kindle電子書籍にもISBNを取得したほうがいい?

ISBNは、書籍を識別するための番号です。KDPでは電子書籍についてISBNを省略できると案内しているため、Kindle電子書籍を出すためだけに、必ず取得しなければならないわけではありません。Amazon KDP「ISBN と出版社とは?」

一方、日本図書コード管理センターは、ISBNは法律で使用が義務付けられたものではなく、販売先や頒布先に必要な識別子を確認してから取得を検討するよう案内しています。電子書籍のみを刊行する場合も、国際規格ではISBNの付与が推奨されている一方、電子書籍にはさまざまな識別子があるため、頒布先に確認するよう案内しています。日本図書コード管理センター「ISBNの取得をお考えの方へ」

ここでの判断は、「番号があるほうが本らしいか」より、どの形でどこへ届ける予定かから始めましょう。Kindle電子書籍だけを準備する段階と、紙の本や別の流通先も検討する段階では、確認する範囲が変わります。

電子版と紙の本に、同じ番号を使わない

同じ原稿を使う場合でも、ISBNを付与する際は発行形態の違いを確認します。日本図書コード管理センターの利用の手引きでは、紙の書籍から電子書籍へ、あるいは異なるフォーマットの電子書籍へなど、発行形態や媒体を変えて出版する場合に、新しいISBNを割り当てると説明しています。一方、表紙の絵柄やカバーが違うだけの場合は、ISBNを変更しません。日本図書コード管理センター「利用の手引き」

たとえば、電子版の奥付を紙の本へコピーする場合、ISBN欄も一緒に移す前に、その番号がどの版のものかを確認してください。未取得なら、仮の番号を完成原稿に残さず、確定後に入力します。

KDPにはペーパーバック向けの無料ISBNの選択肢がありますが、Amazonが提供する無料ISBNはKDPでのみ利用できます。別の出版方法でも同じ番号を使う予定があるなら、この条件を先に確認しましょう。Amazon KDP「ISBN と出版社とは?」

ISBNを付けることと、書店での取り扱いや読者からの評価は、別に考えます。番号を取得したことだけを、本の品質や販売成果の根拠にしないようにしましょう。

4.奥付には、何をどこまで載せれば読みやすい?

私は、まず書名、著者名、発行日、発行者を整理し、必要に応じて連絡先や制作協力の情報を加える方法を勧めます。項目を増やす前に、誰が読むときに何を確かめられるかを考えてみてください。

次の表は、奥付を作るための作業用の整理表です。すべての項目が必須という意味ではなく、自分の本に必要な情報を選ぶために使います。

項目記載前に確かめたいこと
書名・著者名表紙や販売登録の表記と一致しているか
発行日・版の情報実際の出版予定や更新内容と合っているか
発行者誰が発行する本なのかを正確に示しているか
問い合わせ先公開する窓口として使い続けられるか
ISBN付与する場合、その発行形態の番号か
制作協力・素材表記合意した名前や指定の記載方法か

公開する連絡先は、用途を決めて選ぶ

問い合わせ先を載せるなら、読者からの誤記の連絡などを受け取る窓口として考えます。私用の連絡先を慌てて記入する前に、公開用として管理できる窓口を選びましょう。

ウェブページを案内する場合は、URLを実際に開き、問い合わせ方法がわかるかを確かめます。原稿の中だけに古い窓口が残らないよう、更新時の確認項目にも入れておくと整理できます。

個人名、屋号、法人名のどれを書くかも、見栄えだけで決めず、実際の発行体制に合わせます。制作を手伝った人と発行する人を分けて記載すれば、担当した役割を伝えやすくなります。

他書の情報を、ひな形と一緒に持ち込まない

奥付の書式を参考にしても、他書の発行者、印刷所、番号、注意書きまで移してはいけません。自分の出版方法と関係のない情報が残っていないか、一行ずつ確認しましょう。

項目名だけを先に並べ、情報を確かめながら埋める方法もあります。未確定の部分は作業用メモで管理し、提出する原稿には空欄や仮の文字を残さないようにします。

5.初版ができたあと、改訂では何を見直す?

奥付は最初の出版時だけでなく、内容を更新するときにも確認します。電子版と紙の本がある場合は、どちらを更新したのかが、自分の管理でもわかるようにしておきましょう。

私は、修正した日、修正内容、対象ファイルを別の記録に残すことを勧めます。奥付に載せる情報と、制作側で管理する詳しい修正履歴を分けると、読者に見せる情報を整理しやすくなります。

たとえば、リンク先だけを直した場合と、章を追加して内容を大きく変えた場合では、見直す範囲が異なります。ISBNや版の扱いに迷う変更は、独自のルールで決めず、登録機関や販売先の案内を確認してください。

原稿の中の情報を、最後に横並びで確認する

最終確認では、表紙、タイトルページ、奥付、販売登録用の情報を並べます。著者名の表記、書名、発行形態、記載した番号に食い違いがないかを見ましょう。

素材の表示が必要な場合は、最新版の原稿に残っているかも確認します。図を差し替えたのに古い制作者名が残る、素材を追加したのに必要な表記がない、といったずれを点検します。

そのあとで完成データを開き、奥付まで移動して文字やリンクを確認してください。編集用原稿で整っていることと、実際に提出するデータに反映されていることを、別々に確かめます。

出版前のチェックリスト

  • 奥付、著作権表記、ISBNの役割を分けて確認した。
  • 本文と外注素材について、出版に必要な権利や表記条件を確認した。
  • ISBNを付ける場合、その発行形態に合う番号を使っている。
  • 書名、著者名、発行者、発行日、公開用の窓口を確認した。
  • 表紙、奥付、販売登録情報、提出ファイルの記載が一致している。

よくある質問

著作権ページと奥付は、分けたほうがよいですか?

本記事では、情報量と読みやすさに合わせて整理することを勧めます。同じ場所にまとめる場合も、発行に関する情報と素材の表記が混ざって読みにくくならないか確認してください。

KDPが著作権ページを必須としていないことと、素材の提供元が求める表記条件は別です。必要な表示を省略してよいという意味ではありません。

ISBNがなくてもKindle電子書籍は出版できますか?

KDPでは、電子書籍のISBNは省略できます。紙の本やほかの販売先にも展開する場合は、その形態や流通先に必要な条件を改めて確認しましょう。

取得するか迷ったら、まず今予定している発行形態と販売先を書き出してみてください。将来の案と今回の出版で必要な準備を分けると判断しやすくなります。

注意書きは長く書いたほうがよいですか?

長さより、自分の本の内容と権利関係に合うかを確認しましょう。他書の文面をそのまま入れても、自分の本に必要な確認を終えたことにはなりません。

個別の契約や利用許諾の判断が必要な部分は、依頼先や素材提供元に確認します。確認した内容を踏まえて、読者に伝える情報を整えてください。

まとめ

電子書籍の奥付は、書名や発行者などを確認できる場所として整えると、必要な情報を選びやすくなります。著作権表記とISBNは、それぞれの役割と条件を確認し、見た目だけで加えないことが大切です。

今日はまず、自分の本の書名、著者名、発行者、発行予定日を、一枚のメモにまとめてみませんか。

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出典

確認日:2026年10月24日。奥付の項目や制作管理の方法は、本記事での提案です。

文化庁「著作権の登録手続き」

Amazon KDP「著作権のガイドライン」

Amazon KDP「ISBN と出版社とは?」

日本図書コード管理センター「ISBNの取得をお考えの方へ」

日本図書コード管理センター「利用の手引き」(PDF)

本にしたいことが、まだ形になっていなくても

すぐに決める必要はありません。何を、誰に伝えたいのか。その整理から、一緒に考えることもできます。

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